公開日 2026.03.19更新日 2026.03.19

電子帳簿保存法の保存期間完全ガイド!7年と10年の違いや書類管理のポイントを解説

電子帳簿保存法における書類の保存期間は原則7年ですが、10年になるケースや法人・個人事業主の違いまで正確に把握できているか不安に思う方もいるはずです。

対応を誤れば青色申告の承認取消など重大なリスクも伴うため、正確な処理が求められます。

本記事では保存期間の詳細や対象書類、課されるペナルティや効率的な運用方法まで詳しく解説します。

電子帳簿保存法を正確に理解し、運用したい方はぜひ最後までお読みください。

電子帳簿保存法における保存期間は7年が基本

電子帳簿保存法では、帳簿書類の保存期間は原則7年と定められています。

ただし、保存期間の起算日は書類の作成日ではなく、確定申告の提出期限の翌日からカウントする点に注意が必要です。

本章では保存期間の正しい数え方と、7年保存の対象となる具体的な書類について解説します。

保存期間の起算日は確定申告期限の翌日

保存期間の起算日は、確定申告の提出期限の翌日です。

書類の発行日や受領日と勘違いされがちですが、法人の場合は「その事業年度における確定申告の提出期限の翌日」から7年間カウントします。

一般的に、法人の確定申告の提出期限は事業年度の終了日の翌日から2ヵ月後です。

たとえば3月決算の企業であれば、5月31日が申告期限となるため、翌日の6月1日が保存期間の起算日になり、7年後の5月31日まで帳簿書類を保存する必要があります。

書類ごとに起算日が異なるわけではなく、事業年度単位で一律に管理できるため、実務上は比較的シンプルな運用が可能です。

対象となる国税関係帳簿の種類

7年保存の対象となる国税関係帳簿には、日々の取引を記録する以下の書類が含まれます。

  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳
  • 現金出納帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 固定資産台帳 など

上記の書類は企業の財務状況や取引内容を証明する重要な書類です。

会計ソフトで作成したデータも帳簿に該当するため、電子データとして保存する場合は電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。

仕訳帳や総勘定元帳は全ての取引の基礎となる帳簿であり、税務調査の際には必ず確認される書類です。

適切に保存しておかなければ、青色申告の承認取り消しなどのリスクがあるため、確実な管理体制を整えましょう。

対象となる国税関係書類の種類

7年保存の対象となる国税関係書類は、決算関係書類と取引関係書類の2つです。

主な決算関係書類 主な取引関係書類
・貸借対照表
・損益計算書
・試算表
・棚卸表 など
・請求書
・見積書
・納品書
・注文書
・領収書 など

決算関係書類は企業の年度末における財政状態や経営成績を示すもので、税務申告の根拠となります。

一方、取引関係書類は日常的な取引の証拠となる書類です。

特に請求書や領収書は取引の事実を証明する重要な書類であり、税務調査では詳細にチェックされます。

紙で受け取った書類も電子データで受け取った書類も、いずれも7年間の保存義務があるため、形態に応じた適切な保存方法を選択する必要があります。

保存期間が10年になるケース

欠損金の繰越控除を受ける場合、帳簿書類の保存期間は10年間に延長されます。

欠損金の繰越控除とは、税務上の赤字(欠損金)を翌期以降に繰り越して黒字と相殺し、節税できる仕組みです。

2018年4月1日の税制改正により、欠損金を繰り越せる期間が9年から10年へ変更されました。

本税制改正に伴い、欠損金が生じた事業年度の帳簿書類も10年間保存することが義務付けられています。

具体的には以下の通りです。

  • 2018年3月31日まで開始の事業年度:保存期間は9年間
  • 2018年4月1日以降開始の事業年度:保存期間は10年間

たとえば2020年3月期に欠損金が発生した場合、その年度の帳簿書類は2030年5月末まで保存が必要です。

赤字決算の年度は特に注意し、通常より3年長い保存期間を設定しておきましょう。

欠損金の繰越控除を適用する企業は、該当年度の書類を10年間確実に保管する体制を整えることが必須です。

個人事業主の保存期間

個人事業主の帳簿書類保存期間は、青色申告は原則7年、白色申告は5年が基本ですが、消費税の課税事業者に該当する場合は別途7年間の保存が必要です。

本章では、個人事業主における帳簿書類保存期間の詳細を解説します。

青色申告の場合は原則7年間

青色申告を行う個人事業主の保存期間は、原則7年間です。

起算日は「その年の確定申告書の提出期限の翌日」となります。

ただし、売上規模が小さい事業者への配慮として設けられた特例として、前々年分の事業所得および不動産所得の金額が300万円以下の場合は、保存期間が5年間に短縮されます。

仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿類は7年保存が必須ですが、請求書や領収書などの取引関係書類は所得が300万円以下であれば5年保存です。

自身の事業規模を確認し、適切な保存期間を把握しましょう。

白色申告の場合は5年間

白色申告を行う個人事業主の保存期間は5年間です。

起算日は青色申告と同様に、「その年の確定申告書の提出期限の翌日」からカウントします。

白色申告では、帳簿だけでなく請求書や納品書、送り状といった取引関係書類もすべて5年間の保存が義務付けられています。

青色申告のような所得による保存期間の短縮措置はありません。

ただし、白色申告は青色申告に比べて記帳義務が簡易的です。

そのため、保存すべき書類の種類は少なくなる傾向があります。

とはいえ、取引の証拠となる書類は確実に5年間保管しておく必要があるため、年度ごとにファイリングして管理することをおすすめします。

課税事業者は7年間

消費税の課税事業者に該当する個人事業主は、仕入れに関する領収書を7年間保存する義務があります。

消費税法で明確に定められており、仕入税額控除の適用を受けるための要件です。

課税事業者とは、前々年の1月1日から12月31日までの課税売上高が1,000万円を超える事業者のことです。

つまり、2024年の課税売上高が1,000万円を超えている場合、2026年から課税事業者となります。

なお、青色申告・白色申告に関わらず、課税事業者であれば消費税法上の7年保存が適用されます。

所得税法の保存期間が5年でも、消費税法では7年となるため、長い方の期間に合わせて保存しておくと安全です。

また、インボイス制度の導入により、適格請求書の保存も7年間となっている点も覚えておきましょう。

電子データ化した後の紙の原本保存期間

2022年の法改正により原本の即時廃棄が可能になりましたが、条件や注意点があります。

本章では、原本の保存期間および破棄する際の注意点について解説します。

スキャナ保存後は原本廃棄が可能

2022年1月以降にスキャナ保存を行った書類は、原則として即時廃棄することが可能です。

ただし、原本を廃棄するには電子帳簿保存法で定められたスキャナ保存の要件を満たす必要があります。

主に解像度200dpi以上でのスキャン、タイムスタンプの付与、検索機能の確保などの要件が該当します。

なお、要件を満たさずにスキャン保存した場合、原本を廃棄すると法令違反となるため注意してください。

たとえば、単に写真撮影しただけのデータや、タイムスタンプのない保存方法では不十分です。

スキャナ保存の要件を正しく理解し、システムや運用ルールを整備したうえで原本廃棄を検討しましょう。

原本を廃棄する際の注意点

スキャナ保存後でも、原本廃棄ができないケースがあるため注意しましょう。

主に以下の2つのケースでは、原本の破棄ができません。

  • 業務処理サイクル方式を採用している場合
  • 印紙税の課税文書に該当する場合

まず、業務処理サイクル方式を採用し、書類の受領から2か月と概ね7営業日を経過している書類は、スキャナ保存をしても電磁的記録での保存に代えることができません。

期限を過ぎた書類については、紙の原本保存が必須となります。

また、収入印紙が貼付された契約書などで印紙税の過誤納が発生した際、還付の申請にはスキャンデータではなく原本が必要です。

そのため、収入印紙を貼った書類については、還付請求の可能性も考慮し、原本を保存しておくほうが安全です。

廃棄の判断は慎重に行い、不明な点は税理士に相談することをおすすめします。

電子帳簿保存法の3つの保存方法

電子帳簿保存法では、保存方法が以下3つの区分に分かれています。

  • 電子帳簿等保存
  • スキャナ保存
  • 電子取引データ保存

本章では、各保存方法の詳細および注意点を解説します。

電子帳簿等保存(任意)

電子帳簿等保存とは、会計システムや文書管理システムで作成した帳簿書類を電子データのまま保存できる制度です。

従来は紙に出力して保管する必要がありましたが、本制度を活用すれば電子データで保存が可能になります。

会計ソフトで作成した帳簿をそのままデータ保存できるため、印刷や保管スペースのコスト削減が可能です。

ただし、電子帳簿等保存を行うためには、訂正削除の履歴が残る仕組みや、検索機能の確保など一定の要件を満たす必要があります。

なお、本制度の適用は任意のため、紙での保存を継続することも認められています。

業務フローや社内体制に応じて、電子保存への移行を検討しましょう。

スキャナ保存(任意)

スキャナ保存とは、紙で作成・受領した書類をスキャンして画像データで保存することを認める制度です。

領収書や請求書などの取引関係書類を電子化できるため、保管スペースの削減や検索性の向上が期待できます。

ただし、スキャナ保存を行うには、解像度200dpi以上など一定の要件を満たした専用機器を用意する必要があります。

また、タイムスタンプの付与や検索機能の確保も必須要件です。

スマートフォンのカメラでの撮影も認められていますが、解像度や保存方法は同じ要件が適用されます。

なお、本制度も任意のため、紙のまま保存を続けることも可能です。

スキャナ保存を適切に行えば、前述の通り原本の即時廃棄が認められます。

保管コストや業務効率を考慮し、スキャナ保存の導入を検討してみましょう。

電子取引データ保存(義務)

電子取引データ保存とは、メールやクラウドシステムで授受した取引データを電子のまま保存することを定めた制度です。

電子帳簿等保存やスキャナ保存が任意であるのに対し、電子取引データ保存は2024年1月から義務化されています。

対象となるのは、メールで受け取った請求書PDFや、クラウド経由で授受した見積書などです。

受信したデータを紙に印刷して保存することは認められず、必ず電子データのまま保管する必要があります。

また、電子取引データを保存する際は、以下の4つの要件を満たさなければなりません。

  • タイムスタンプの付与
  • 関連書類の備え付け
  • 見読性の確保(画面やプリンタで内容を確認できること)
  • 検索機能の確保(取引年月日・取引先・金額で検索できること)

違反した場合は青色申告の承認取消などのペナルティがあるため、注意しましょう。

保存期間を守らなかった場合のペナルティ

帳簿書類の保存期間を守らなかった場合、企業には重大なペナルティが科されます。

本章では、課されるペナルティの詳細を解説します。

青色申告の承認が取り消されるリスク

税務調査の際に帳簿書類の提示要求に応じられない場合、青色申告の承認が取り消されます。

保存期間内に書類やデータを破棄してしまうと提示できないため、青色申告者としての資格を失い、白色申告者になってしまいます。

青色申告の承認が取り消されると、最大65万円の青色申告特別控除や欠損金の繰越控除といった税制優遇が一切受けられません。

法人の場合も同様に、欠損金の繰越しや各種特例措置が適用されなくなります。

一度承認が取り消されると、再度青色申告の承認を得るまでには一定期間が必要です。

たとえば個人事業主の場合、取消しから1年間は再申請ができません。

税負担が大幅に増加するだけでなく、企業の信用にも関わるため、確実な書類保存が不可欠です。

仕入税額控除がされないリスク

仕入の消費税分を差し引く仕入税額控除を受けるには、仕入に関する帳簿書類の保存が必要です。

帳簿書類がない場合は仕入税額控除が認められず、消費税の納税額が大幅に増加します。

たとえば、仕入で100万円(消費税10万円込み)を支払った場合、本来であればこの10万円を売上の消費税から差し引けます。

しかし、仕入に関する書類がなければ控除が認められず、10万円分の税負担が増える計算です。

書類の紛失や破棄は直接的な税負担増につながるため、適切な管理体制を整えましょう。

推計課税による税負担の増加

推計課税とは、帳簿書類が整っていない場合や申告内容に不自然な点がある場合に、税務署が売上や所得を推定して課税する制度です。

適切な帳簿がない、または保存状態が悪い場合に適用されるリスクがあります。

推計課税では、同業他社の平均値や業界標準をもとに所得が算出されます。

そのため、実際の所得よりも高く見積もられ、過大な税負担を強いられる可能性が高いです。

さらに、推計課税による申告では青色申告特別控除などの優遇措置も適用されません。

つまり、実際の所得が500万円でも、推計で700万円と算定されれば、200万円分余計に課税されることになります。

正確な帳簿書類の保存は、自社を守るための重要な証拠となることを認識しておきましょう。

関連記事:電子帳簿保存法を導入しない場合どうなる?2024年以降のリスクと罰則を解説

電子帳簿保存法で経理業務が複雑化する3つの課題

電子帳簿保存法への対応により、経理部門の業務負担は大幅に増加しています。

本章では、経理業務が複雑化する主な理由を3つ解説します。

保存ルールの確認とチェックリスト作成

ペナルティを回避するためには、まず自社の電子帳簿保存法への対応状況を正確に把握する必要があります。

現状の業務フローやシステムが法要件を満たしているか確認するため、チェックリストの作成が不可欠です。

電子取引データの保存方法、タイムスタンプの付与状況、検索機能の実装状況などを項目ごとに点検する必要があります。

また、紙で受け取った請求書のスキャナ保存要件や、保存期間の起算日が正しく管理されているかも確認対象です。

チェックリストを作成する際は、国税庁の公表資料や税理士のアドバイスを参考にしながら、自社の取引形態に合わせた項目を設定します。

定期的に見直しを行い、法改正や新たな取引方法に対応できる体制を整えることが重要です。

社内規定の整備や社員教育

電子データの取り扱いについて曖昧なまま運用すると法令違反のリスクが高まるため、全社で統一されたルール設定と周知が求められます。

ルール決定後は、経理担当者だけでなく営業や購買など電子データを取り扱うすべての従業員に対して継続的な教育が必要です。

営業部門がメールで受け取った見積書や注文書も電子取引データに該当するため、適切な保存方法を理解してもらわなければなりません。

社内説明会やマニュアル配布、eラーニングなどを活用し、全従業員が法要件を理解できる環境を整えましょう。

特に中途入社者や異動者への教育を忘れず、継続的な周知体制を構築することが大切です。

電子帳簿保存法を満たしたシステムの検討

義務化された電子取引データ保存において、手作業で要件を満たすのは非常に困難です。

日付、金額、取引先などの検索機能や改ざん防止措置に対応したシステムの導入を検討しましょう。

クラウド型会計システムや文書管理システムを導入すれば、電子帳簿保存法の要件を確実に満たせます。

タイムスタンプの自動付与、検索項目の自動入力、訂正削除履歴の記録などが標準機能として提供されており、簡単に運用可能です。

ただし、システム導入には初期費用や月額利用料がかかります。

また、既存システムからのデータ移行や従業員への操作トレーニングも必要なため、費用対効果を慎重に検討し、自社の規模や取引量に合ったシステムを選定しましょう。

経理業務の負担軽減を目的とした代行サービス活用法

電子帳簿保存法への対応や保存期間管理を含む経理業務は、社内リソースだけでは限界があります。

そのようなときは、経理代行サービスの活用を検討しましょう。

本章では、経理代行サービスの活用方法を解説します。

経理代行とは

経理代行とは、自社内で実施している経理業務を外部の専門業者に委託するアウトソーシングサービスです。

記帳代行、請求書発行、経費精算、月次決算といった日常業務から、電子帳簿保存法対応まで幅広く対応してもらえます。

自社の人員をコア業務に集中させたい場合や、経理担当者の負担を軽減したい際に活用できるサービスです。

特に中小企業では経理担当が1人しかいないケースも多く、業務が属人化しやすいという課題があります。

経理代行を導入すれば、担当者の休暇や退職時にも業務が滞りません。

また、専門チームが対応するため、複数人でのチェック体制が整い、ミスの削減にもつながります。

関連記事:経理代行とは?サービス内容や料金相場、メリットや選び方も解説

経理代行のメリット

経理代行の最大のメリットは、法改正に迅速に対応してもらえる点です。

電子帳簿保存法のような複雑な法令は頻繁に改正されるため、社内で最新情報をキャッチアップするには相当な労力が必要です。

経理代行業者は税理士や会計士と連携しながら、常に最新の法令情報を把握しています。

改正があった際も速やかに対応してくれるため、法令違反になる心配がありません。

自社で社内規定を作成したり、従業員教育を行ったりする手間も大幅に削減できるため、コア業務に集中できる環境が整います。

クラウド会計ソフトの導入支援も可能

多くの経理代行サービスでは、クラウド会計ソフトの導入支援も提供しています。

導入支援とは、クラウド会計ソフトの利用開始に伴う初期設定や、他のシステムと連携させるための設定をサポートしてもらえるサービスです。

クラウド会計ソフトは電子帳簿保存法への対応が標準機能として組み込まれていますが、自社の業務フローに合わせた以下の設定が必要です。

  • 勘定科目の設定
  • 取引先マスタの登録
  • 銀行口座やクレジットカードとの連携 など

初期設定には知識が必要になるため、経理代行業者のサポートを受ければ、自社に最適な設定を短期間で完了できます。

また、運用開始後のトラブル対応や、効率的な使い方のアドバイスも受けられるため、システムを最大限活用できる環境が整います。

導入から運用まで一貫してサポートしてもらえる点は、大きな安心材料です。

まとめ

電子帳簿保存法における帳簿書類の保存期間は、原則として7年間です。

ただし、欠損金の繰越控除を受ける場合は10年間の保存が必要になるため、自社の状況に応じて適切な期間を設定しなければなりません。

保存期間を正しく理解せずに書類を破棄してしまうと、青色申告の承認取消や推計課税といった重大なペナルティを受けるリスクがあります。

また、電子帳簿保存法への対応では、保存ルールの確認、社内規定の整備、システム導入の検討など、経理部門の負担が大幅に増加しています。

上記の課題を解決する手段として、経理代行サービスの活用が有効です。

専門知識を持つプロに任せることで、法令遵守を確実にしながら、社内リソースをコア業務に集中させられます。

経理業務の代行なら「オンライン経理のCASTER BIZ accounting」をご利用ください。

電子帳簿保存法対応を含む経理業務全般を、最短3営業日で立ち上げた専門チームがサポートします。