第二回「ずっと同じ経理システムを使っていませんか?潜むリスクとは」

ここはとある中小企業向け経理DXセミナー会場。グループディスカッションが終了した休憩時間、同じ席に振り分けられた4人が、自社のDX状況について話しています。
前回「2025年崖」に自分達の会社も立っていると知ったメンバーですが…
【登場人物】
経理のことならお任せあれのエキスパートで、リモートワークやDXにも造詣が深いカエル
500名企業の管理部門を統括する責任者
500名企業の管理部門で働くメンバー
設立3年目のスタートアップ創業者
「2025年の壁が深刻なことはわかったけれど、イマイチ自社の問題として認識できてないかもしれません。」
「うちの会社のシステムは2000年頃主流だったものだけど、問題なく使えてるし、更新はコストもかかるからなぁ。」
「私も現場で働きながら日々、“もっといい方法がありそう”と感じるものの、日々の業務に追われ、DXどころではないのが本音です。」
「では、皆さんの会社で“ITシステムを使っているけれど、古いやり方かも?”と思う経理業務はありますか?」
「うちの会社は紙の請求書をPDFに変換後、システムに手入力するので面倒だなぁと思っています。」
「でも、うちはそれで十分機能しているじゃないか。」
「 ……ですね……。」
「それ、レガシーと呼ばれる古いやり方ですよ! クラウド会計を導入すれば、自動でデータを取り込め、手入力の手間だけでなくミスも減らせるんですよ。」
「うちの経理は優秀だから、ミスが問題になることはほぼ0なんですよね。」
「手作業でミスが無いのは素晴らしいですが、残業が多くなっていませんか? 業務の効率化という観点では、手作業には限界があります。
クラウド会計なら、例えば請求書の発行・メール送信・仕訳まで必要なタイミングで全て自動化することができますよ。」
「そう言われると、今のままでは不安になってくるなぁ。」
「よく聞く、ベテラン担当が自分のPCだけで経理ソフトを運用しているような場合もレガシーですよね?」
「その通り! 担当者が休んだり退職した瞬間に業務が止まりかねません。」
「うちの経理システムは、クラウド接続してないので不安になってきました…。」
「クラウドになくても、経理をリモートワークにする予定はないし、会社専用サーバーにあるから大丈夫だよ。」
「それも危険ですよ! 経理担当者のパソコンと社内データベースが同じ場所にある場合、ランサムウェアなどに攻撃されると、バックアップが残せません。セキュリティにも費用がかかりますが、対策は万全ですか?」
「………。」
「ちなみに、会社の経理システムを独自でカスタマイズした結果、担当者以外わからなくなっている”ブラックボックス化”といわれる状態も多いんですよ。」
「うちは設立3年目のベンチャーだし、2025年の崖とは関係ないですよね?」
「ベンチャーでも2025年の崖に陥っている会社は、多いんですよ。」
「え? うちの場合、税理士に丸投げで、ノウハウ蓄積されてないから」
「Cさんは、依頼先の税理士が使っているツールを認識していますか?」
「いえ…わからないですね…。」
「今は、税理士が使うツールやシステムに合わせている状態なので、例えば大きな方針転換が必要になったとき、自社で何も動かせず、スピード感も出せないのはリスクだと思います。」
「たしかに…。」
「他にも、ベンチャー企業によくある危機としては、立ち上げ当初の数人で回せる業務フローのまま拡大してしまう、IT人材の流動が早いため、業務がブラックボックス化してしまうなどがあります。」
「資金調達やIPO準備をはじめたとき、求められるレベルに業務が追いつけない問題が発生しそうですね。」
「そう、2025年の壁は、ベンチャー企業も他人事ではないんです。」
「私は社員のひとりなので、日々の運用に問題がない会社の経理システムに危機を感じても、会社の問題として認識してもらい辛いのが悩ましいです。」
「自社の経理システムの危機度を把握するための指標について、次回お話しますね!」
次回、自社は「2025年の崖」に立っているのか、簡単にチェックできる「経理システムのレガシー チェックリスト」を公開します。