第一回「2025年の崖って何?」

ここはとある中小企業向け経理DXセミナー会場。グループディスカッションが終了した休憩時間、同じ席に振り分けられた4人が、自社のDX状況について話しています。
【登場人物】
経理のことならお任せあれのエキスパートで、リモートワークやDXにも造詣が深いカエル
500名企業の管理部門を統括する責任者
500名企業の管理部門で働くメンバー
設立3年目のスタートアップ創業者
「弊社の経理は、税理士さんに丸投げ状態で…」
「うちは、効率化は必要だと思いながらも、どこから手をつければいいかわからず…。昔から使っているシステムに問題はないし、費用や手間、リソースを考えると、DXは後回しになっています。」
「私も現場で働きながら日々、“もっといい方法がありそう”と感じるものの、日々の業務に追われ、DXどころではないのが本音です。」
「みなさんの経理悩み、『2025年の崖』に関連する話かもしれません。」
「2025年の崖? 聞いたことがないなぁ」
「簡単に言うと、古いシステムを使い続けると、2025年以降に大きなリスクやコストの増加が一気に表面化するという話です。経理業務におけるデジタル化が進まないと、日本企業が莫大な経済損失に見舞われるという予測に基づき、「2025年の崖」は、経済産業省のDX推進レポートにも登場しているワードなんですよ。」
「 莫大な損失…!? 具体的にどんなリスクがあるんですか?」
「リスクは大きく3つ、既存ITシステムの老朽化、社会的変化へ対応しないことへのリスク、人材不足です。
まず、古いシステムは、最新の技術やツールと互換性がなく、他のツールとの連携も難しい傾向にあります。今後、古いシステムの利用が限界に達すると、業務が停止したり中断するリスクがあるんです。」
「それって、経理業務が止まる可能性があるってことですよね?」
「その通り。しかも、結果的に保守や修理のコストがどんどん増え、古いシステムに詳しい技術者も年々減るため、対応できる人が確保できなくなるリスクもあります。」
「技術者不足の問題はよく聞きますよね。うちみたいなスタートアップは、外部に頼るしかないけど、それも限界があるしなぁ……。」
「2つ目は、労働人口の減少や顧客ニーズの多様化で、「社会的な変化へ対応しないこと」へのリスクです。業務を効率化して柔軟に対応するためには、デジタル技術を使って業務プロセスを見直す必要があります。この“デジタルトランスフォーメーション(DX)”が進まないとビジネスの競争力が落ちるといわれています。」
「なるほど。だから今日もDXセミナーに来たんだけど、実際に進めるとなると腰が重いんだよなぁ」
「最後に3つ目の課題は「人材不足」です。社内にITスキルを持つ人が少ないと、結局外部委託に頼らざるを得ない。でも、外部に頼り切りだと、若手エンジニアは成長を感じられず、離職しやすい傾向にあります。結果的に“魅力のない環境”が生まれ、人材不足に拍車をかけてしまうんですよね。」
「確かに…新しい技術を取り入れることは、そこで働く人の成長にもつながりますよね。」
「その通りです。DXした方がいいと思いながら、進まない会社が多いからこそ、経済産業省が2025年の崖として警鐘を鳴らしているんです。」
「なるほどね…”2025年の崖”と言われると、状況は思った以上に逼迫しているイメージが湧きますね」
「うちの会社も、知らないうちに崖っぷちに立っていたら大変だな……」
「でも、こうして今「2025年の崖」を認識したことは、第一歩を踏み出したようなもの。崖から落ちる前に、対策を始めればいいんですから。」
「2025年の崖」は、すべての企業にとって他人事ではありません。
課題を知り、今から対策を始めることで未来は大きく変わります。
皆さんも一歩を踏み出してみませんか?