公開日 2024.11.29 更新日 2025.01.16

経理部門のDX化とは?重要性や導入するメリットを紹介

近年、経理部門をはじめとするさまざまな業務で、DX化を推進する動きが高まっています。
とはいっても、「未だにDX化の意味がよくわかっていない」「何から始めてよいのかさっぱりだ」と頭を抱えているご担当者様もいらっしゃるかもしれません。

 

そこで本記事では、経理部門のDX化が自社にもたらす効果をお伝えします。
本記事でご紹介する内容が、DX化を検討しているご担当者様にとって少しでもお役に立てば幸いです。

経理部門のDX化とは

DX(デジタルトランスフォーメーション)化とは、バックオフィス業務にITツールを導入し、組織全体の変革をもたらすことです。
ビジネスにおけるDX化の目的は、デジタル技術を活用した業務の生産性向上を通じて、自社の地位を確立するための業務改革です。

 

人事や総務を含めた経理部門においては、請求書処理や帳簿記入などに伴う書類の電子化にくわえて、ロボットを使って業務プロセスの一部を自動化することが挙げられます。
また、企業の経営判断で重要な情報を幹部に提供できる経理部門は、こうしたデジタル技術を使って、既存のビジネスモデルから脱却した事業計画の立案が求められるわけです。

 

最新の経営状況の可視化や、企業の収益につながる財務面での提案など、経理部門ならではの施策を通して、自社の変革に貢献できるのです。

経理部門のDX化が必要とされる理由

2018年12月に、経済産業省が“産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進”という施策を発表してから、ますますDX化が進められている傾向にあります。
ここでは、近年経理部門のDX化が急務となった経緯をお伝えします。

 

【経理部門のDX化が急がれている理由】

  • 経理人材の属人化を防ぐため
  • 法改正へ対応するため

それではさっそく見ていきましょう。

経理人材の属人化を防ぐため

経理業務のDX化が、このところ急速に進められるようになった背景には、経理人材の獲得が容易ではなくなったことが挙げられます。
現在、企業の人材不足が問題視されるようになり、その影響は経理部門も例外ではありません。

 

経理業務は専門性が高いゆえに、人材を確保するのが難しい状況にあります。
やっとの思いで知識や経験豊富な人材を確保できたとしても、一連の経理業務をその人材に任せきりになりがちです。
結果として、担当者がいきなり退職や休職した場合に対応できる人材がすぐに見つからずに、業務が滞ってしまうことも考えられます。

 

こうした事態を防ぐためにも、経理業務を自動で処理するシステムを取り入れたり、手作業が減るようにデジタル化したりと、急な欠員に柔軟に対応できる環境を整えましょう。

 

関連記事:経理業務のオンライン化で実現できる世界とは

法改正へ対応するため

経理部門に関する法改正も、経理業務のDX化が急務となったきっかけの一つです。

記憶に新しい法改正として、電子取引した注文書や契約書などを、電子データで管理することを義務化した改正電子帳簿保存法が挙げられます。
また、消費税率ごとの分類や、請求書の区分管理を要するインボイス制度も、業務のデジタル化が求められることになった法改正の一つといえます。

 

こうした変化には、既存の業務プロセスでは到底対応しきれません。
経理部門全体にITツールを導入し、請求業務のみならず業務全般の効率化を図ることが求められるわけです。

 

関連記事:電子帳簿保存システムとは?その要件や導入のメリットを解説

経理部門におけるDXのメリット

ここからは、経理部門の業務にITツールを活用することで、企業にもたらされる利益を具体的にお伝えします。

【経理部門におけるDX化のメリット】

  • コストの削減
  • コア業務の強化
  • 経営状況の可視化
  • ペーパーレス化によるSDGsへの貢献

各項目を具体的にお伝えします。

メリット①コストの削減

デジタル化による変革がもたらされることで、これまで経理業務にかかっていた諸費用が不要になります。

 

代表的なのは、経理業務における人的コストです。
経理業務の効率化によって、担当者の時間外労働が減り、人件費の削減につながります。
また、経理業務にITツールを導入すると、業務にかかる工数や人員も削減できるほか、新たな経理人材を獲得する必要がなくなることで、採用費もかかりません。

 

くわえて、これまで印刷していた書類を電子化すれば、用紙やインク代のほか、コピー機のメンテナンスおよび電気代も節約できるでしょう。

 

このように、経理部門のDX化は、ITツールの導入費用を回収できるほどのさまざまなコストの削減につながります。

メリット②コア業務の強化

経理部門のなかでもバックオフィス業務にデジタル技術を用いれば、他社との差別化を図れる重要なコア業務に時間を投じることも可能です。

 

ITツールを使って効率化することで、経理業務にかかる工数が少なくなり、時間外の労働を短縮できます。
空いた時間で、経理部門から自社ならではの企画につながる情報の提供や、事業計画を推進することが叶うでしょう。

 

メリット③経営状況の可視化

経理業務をデジタル化すると、経営戦略を立てるうえで重要な情報をひと目で把握できます。

たとえば、専用のシステムを導入すれば、決算報告書や財務諸表などのお金の流れを可視化することが可能です。
これにより、無駄な出費を洗い出したり、予算をかけるべき項目を見分けられたりと、経営において迅速な意思決定につながる情報を幹部へ提供できるわけです。

 

 

電子データであれば、経営状況を他部署にも容易に共有できるため、経営に対する社内全体の意識の醸成も図れます。

メリット④ペーパーレス化によるSDGsへの貢献

経理業務で使用していた紙媒体を電子データ化することによって、SDGsの環境問題や気候変動に対する取り組みにもつながります。

 

 

経理業務のペーパーレス化は、単に書類に使用される消耗品を削減して、環境問題の解決に貢献するだけではありません。
書類の印刷や郵送にくわえて、書類を廃棄する際に排出される二酸化炭素を削減することで、気候変動への対策も講じている企業として社会にアピールできます。

 

 

経理業務のDX化がSDGsの取り組みにもつながると、企業として社会への訴求力を高めることが叶うわけです。

経理部門におけるDX化のデメリット

経理業務のデジタル化による改革を進める際には、以下のような点に留意する必要があります。

 

【経理部門におけるDX化のデメリット】

  • コストがかかる
  • 使いこなすスキルが必要

それぞれ詳しくご紹介します。

デメリット①コストがかかる

経理業務にデジタル技術を活用する際、システムやツールの導入費用がかかることは避けられません。
DX化を進める範囲が広いと、高額な費用が発生するため、企業の規模によっては負担になることもあるでしょう。

 

 

将来的に得られるものは大きいDX化といえども、システムやツールを導入する前に、投資した費用に対して、得られる利益や効果をよく検討する必要があります。

 

なお、条件を満たせば“IT導入補助金”や、“中小企業デジタル化応援隊事業”などの補助金を活用することもできます。
このようなDX化を応援するサポートを受けることも考慮し、無理のない範囲でITツールを取り入れてみてください。

 

デメリット②使いこなすスキルが必要

せっかく費用をかけて最新のITツールを経理業務に導入したとしても、使いこなせなければ宝の持ち腐れです。

 

業務プロセスにデジタル技術を取り入れるとなると、操作に精通した人材が必要になります。
たとえば、複雑なシステムでも問題なく対応できる外部の業者に委託したり、既存の担当者でも比較的簡単に活用できるITツールを導入したりするなど、方法はさまざまです。

 

 

デジタル技術を最大限に活用して変革につなげるためには、自社のDX化にかかる予算や担当者の能力を考慮して、効率的に知識や技術を供給する手段を講じることが求められます。

 

関連記事:会計ソフトの導入時によくある失敗例!原因と対処法も解説

経理部門のDX化は何から行うか

ここまで経理部門におけるDX化の概要をお伝えしましたが、「具体的にどのようなことをすればよいのかピンとこない」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

 

まずは、自社が抱える課題を特定してみましょう。
経理業務における課題が見えてくれば、自ずとIT化を導入すべき業務が明確になります。

 

また、システムの導入を検討するうえで、クラウドツールを活用して業務を代行してくれるアウトソーシング会社や、クラウドサービス会社に相談してみるのも一案です。
たとえば、経理や労務のアウトソーシングサービスを提供するCASTER BIZ accountingでは、システムの導入や運用の課題解決に関して、個別で相談会を実施しています。

 

これまでの経験を踏まえて、経理業務の課題をもとに、よりDX化の効果を得られる業務プロセスを見分けますので、ぜひご相談ください。

経理部門のDX化の進め方

ここからは、さらに具体的な業務に掘り下げて、デジタル技術を活用する例をご紹介します。

 

【経理部門のDX化の進め方】

  • 経理関連書類を電子化する
  • 各業務のデータを可視化する
  • システムやツールなどによって自動化する

上から順に難易度に沿ってご説明します。

経理関連書類を電子化する

経理業務ですぐに始められるDX化の取り組みは、これまで書面でやり取りしていた業務をオンライン上で完結できるようにすることです。

 

たとえば、決裁を得るために承認者へ都度回付していた稟議書や、取引先との請求書もコピー機でスキャンしてPDF化すれば、オンライン上で共有できます。
また、押印をオンライン上で済ませられるようにすることも、経理業務のデジタル化を促進する方法の一つです。

 

オンライン上でのやり取りが実現すれば、手間や工数が減り、利便性を即日体感できます。
経理業務に関わる書類の電子化は、簡単に着手できるだけではなく、すぐに効果を実感する施策ともいえます。

各業務のデータを可視化する

企業の経営戦略において必要不可欠ともいえる、経理部門に蓄積されたデータを視覚的にまとめることも、DX化に貢献する取り組みの一つです。
膨大なデータを瞬時に理解できるように取りまとめることは、ITツールの強みが大いに活きる活用方法ともいえます。

 

これまで活用されていなかったデータを、企業の収益につながる手段に転じられるだけではなく、必要な数字を算出するためにかかっていた経理の工数削減も実現できます。

さらに人の手では届かなかった細かい原因分析や、改善に向けた新たな提案ができるようになれば、企業に変革をもたらす一歩を踏み出せるといっても過言ではありません。

 

システムやツールなどによって自動化する

書類の電子化やデータの可視化を通してデジタル技術の活用に慣れてきたら、自動化ツールを使って、経理担当者の工数を減らしてみましょう。

業務を自動化すると、複数のシステムを連携できるため、経費精算や伝票入力など対象となる経理業務は実に多様です。

 

月末に集中しがちな経理業務の一部を自動化することによって、業務時間の削減やヒューマンエラーの防止にも一役買います。
手順をシステムに登録するコツさえ掴んでしまえば、その効果は計り知れません。

経理部門のDX化の注意点

クラウドサービスの活用や、電子データによって情報を管理する際に気をつけておきたいのが、セキュリティ対策とそれに関する意識の醸成です。

デジタル技術の活用によって在宅ワークが可能になれば、それだけセキュリティ対策を構築することが困難になります。
過去には、セキュリティ対策について社内で共有できていなかったことによる情報漏洩や、在宅ワーク時のデバイスを狙ったサイバー攻撃などのトラブルも発生しています。

 

経理業務のデジタル化に慣れてしまうことで、このようなリスクを引き起こさないためにも、ガイドラインを通じて社内のセキュリティ対策への意識を高めることも欠かせません。

 

経理部門のDX化に活用できるクラウド会計システム

「実際にどのようなITツールを導入したらいいの……」とお悩みの方に向けて、ここからはDX化の強い味方ともいえる、おすすめのクラウド会計システムをご紹介します。

マネーフォワード クラウド会計

【マネーフォワード クラウド会計の特徴】

  • サーバーを準備する必要がない
  • 最新機能に自動でアップデートできる
  • 企業の成長に合わせて機能を組み替えられる

はじめにご紹介するのは、経理部門の業務全体をシームレスに連携できるマネーフォワード クラウド会計です。
マネーフォワード クラウド会計では、自社でサーバーを準備したり、ソフトウェアをインストールしたりする必要がなく、比較的費用を抑えて手軽にクラウド化を進められます。

 

法改正や消費税増税などの対応があっても、常に最新機能を自動でアップデートすることができるため、バージョンアップなしに利用できるのも嬉しいポイントです。

 

マネーフォワード クラウド会計の基本情報

料金(月額)
  • スモールビジネス:2,980円~
  • ビジネス:4,980円~
  • 中堅~上場企業またはIPO企業向け:要問い合わせ
契約期間 1ヶ月~
基本機能

(ビジネスプランの場合)

  • 決算書の作成
  • 部門階層の作成
  • 振込FBデータの作成
  • 帳簿残高と口座残高の突合
  • AI-OCRから入力
  • 電帳法・電子取引への対応
  • 電帳法・書類保存への対応
  • 電帳法・優良電子帳簿への対応
  • 消費税申告書の作成
導入事例

 

  • 株式会社カラダノート
  • 株式会社ソルテラス
  • 株式会社kubell

freee会計

【freee会計の特徴】

  • 多くのユーザーに選ばれている
  • 万全なセキュリティ対策が敷かれている
  • 連携している他社サービスが多い

国内シェアナンバーワンを誇るfreee会計は、金融機関と肩を並べる万全のセキュリティ対策が講じられています。
保存データの暗号化や、リスクベース認証をはじめとする自社でのセキュリティ対策にくわえ、外部のセキュリティ関連組織と協力してさらに対策を練る徹底ぶりです。

 

また、銀行や決済・レジサービスなど、1,000を超えるサービスと連携しているため、freee会計を導入した暁には、手入力で処理する工数を大幅に削減することが可能です。

freee会計の基本情報

料金(月額)
  • スタンダートプラン:8,980円~
  • アドバンスプラン:39,780円~
  • エンタープライズプラン:要問い合わせ
契約期間 要問い合わせ
基本機能

(スタンダートプランの場合)

  • 入出金管理などの基本的な記帳
  • 債権債務管理※
  • 決算報告書の作成
  • 経費精算※
  • 合算請求書・定期請求書
  • レポート機能※
  • 管理会計※
  • メール・チャットサポート
  • 電話サポート

※機能に一部制限あり

導入事例
  • KDDI株式会社
  • 野村ホールディングス株式会社
  • 伊藤忠人事総務サービス株式会社

関連記事:会計システムの選び方を企業規模ごとに徹底解説

経理部門のDX化に活用できるクラウド経費精算システム

続いては、経理部門にデジタル技術を通じた変革をもたらすうえで欠かせない、クラウド経費精算システムをご紹介します。

 

バクラク経費精算

【バクラク経費精算の特徴】

  • AIを活用した自動入力がある
  • 軽減税率やインボイス制度の登録番号を判定できる
  • 電子帳簿保存法対応の認定タイムスタンプを付与できる

バクラク経費精算は、最大100枚の領収書を同時に数秒でデータ化できる、高精度AIを活用した経費精算システムです。
内訳の入力も自動化することで、項目ごとに細かく金額を振り分けられるので、手入力する必要はありません。

くわえて、軽減税率やインボイス制度の登録番号を判定できるほか、電子帳簿保存法対応の認定タイムスタンプも付与できます。
そのため、経理業務における不正や申請ミスを防ぎ、目視による確認の工数を減らすことも叶います。

バクラク経費精算の基本情報

料金(月額) 30,000円~
契約期間 1年
基本機能
  • 領収書一括自動読み取り
  • 承認経路分岐
  • 請求書支払も対応
  • 自動仕訳と会計ソフト連携
  • 手当の自動計算
  • 二重申請自動検知
  • 交通経路検索/定期区間控除
  • スマートフォンアプリでの申請・承認
  • 給与・振込データ出力
  • 事前稟議との消化率管理
  • 稟議との紐付け
  • 代理申請/代理承認
  • 電子帳簿保存法対応
  • 会計ソフトAPI連携
  • インボイス制度対応
導入事例
  • 株式会社帝国ホテル
  • 株式会社中日ドラゴンズ
  • 株式会社ベルク

楽楽経費

【楽楽経費の特徴】

  • 会社規模を問わず利用できる
  • 経理業務に精通した専任のスタッフがサポートしてくれる
  • 項目やレイアウトを自由にカスタマイズできる

中小企業や急成長ベンチャー、大手企業など、規模間を気にすることなく利用できる楽楽経費は、申請書のレイアウトや承認フローなどを自社のフォーマットに合わせられます。

 

さらに、導入する際には経理業務をよく理解した専任スタッフに相談できるだけではなく、各種マニュアルや設定方法をまとめたサポートサイトも用意されています。
そのため、初めてITツールを導入する企業でも、安心して利用できる経費精算システムといえるでしょう。

楽楽経費の基本情報

料金
  • 初期費用:100,000円~
  • 月額料金:30,000円~
契約期間 1年
基本機能
  • 領収書読み取り機能
  • 自動仕訳・会計ソフト連携
  • 振込データ作成
  • 汎用ワークフロー
  • 請求書支払処理
  • 電子帳簿保存法・インボイス制度対応効率化
導入事例
  • 株式会社毎日新聞社
  • ファーストキッチン株式会社
  • トレンダーズ株式会社

関連記事:経費精算システムとは?導入のメリットや選び方も詳しく解説

経理部門におけるDX化は自社の収益につながるだけではなく、SDGsにも貢献できる

今回は、経理部門のデジタル技術を活用した変革をもたらすことの意義と、そこから得られる恩恵についてお伝えしました。

 

請求書処理や帳簿記入といった経理業務を電子化すると、コストや労力を自社の優位性を確立するコア業務に充てることができます。
また、これまで経理業務で使っていた紙媒体を電子データ化すれば、SDGsの環境問題や気候変動に対する取り組みにもつながるのです。

 

オンライン経理のCASTER BIZ accountingは、クラウド会計の導入をサポートすることで、自社の経理業務におけるDX化をお手伝いします。
経理業務にクラウド会計を導入する課題について、オンラインで個別にご説明することもできますので、ぜひ一度お問い合わせください。