新しい会計システムに乗り換えるタイミングとポイント
会計システムは、会計業務を効率的に進めるうえで不可欠です。
さまざまな理由で「そろそろ会計システムを乗り換えたい」と考えているものの、移行する時期がわからず、先延ばしにしている企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、会計システムを移行すべきタイミングをお伝えします。
長年の使用で感じている機能面や効率面での不満を解消するために、お役立てください。
会計システムを移行すべきタイミング
結論から申し上げますと、新しい会計システムに乗り換えるのは、業務上で不具合が生じたり組織が成長したりするタイミングがベストです。
具体的には、以下の時期が該当します。
【会計システムを移行するタイミング】
- 現行のシステムのサポートが終了するとき
- 法律が改正されたとき
- 会計年度が切り替わるとき
- 事業規模を拡大したとき
では、一つずつ確認していきましょう。
現行のシステムのサポートが終了するとき
現行のシステムのサポートが終了すると、業務上で何か不具合が生じて問い合わせたとしても助け船を出してもらえません。
小さな不具合でも適切な対応がとれなかった場合は、業務に支障をきたすようなトラブルに発展するおそれもあります。
特に、パソコンにインストールして使用するパッケージ型の会計システムは、サポート期間が決まっているため、終了するタイミングを把握しておきたいところです。
法律が改正されたとき
消費税率の引き上げやインボイス制度の導入など、会計業務に関連する法律が改正されたときにも、会計システムをバージョンアップする必要があります。
法改正されたにもかかわらず会計システムが古いままだと、正しく処理できずに業務が滞ってしまうことも少なくありません。
たとえば、2022年の電子帳簿保存法の改正により領収書や請求書を紙ではなく、電子データで保存することが義務化されました。
このように以前より管理が複雑になると、現行のシステムでは対応しきれないことが考えられますので、法改正のタイミングでの移行が一つの目安となります。
会計年度が切り替わるとき
決算が終了すると、新しい会計年度に切り替わります。
前年度の会計処理が整理されている状態ですから、新しい会計システムに乗り換える時期としてはぴったりです。
過去の財務データがまとまっているとデータ漏れが発生しにくく、移行作業をスムーズに進められます。
決算期は、自社の財務状況を見直す機会ともなりますから、このタイミングで会計システムを移行することで企業のさらなる成長につながるでしょう。
事業規模を拡大したとき
事業規模が拡大し、従業員や取引先の数が増えてくると会計処理が複雑になりがちです。
現行のシステムでは売掛金や請求書などの管理が難しくなり、帳簿の作成がスムーズに進まなくなるケースもあります。
さらに、海外にも事業を展開している場合は、その国の税制や通貨、言語に対応した会計システムを用いることが欠かせません。
このように事業規模が大きくなるにつれて、会計業務が滞る事態が起こりえます。
業務量の増加によりミスが発生する可能性もありますから、自社の規模に合う会計システムに変更するのが賢明です。
新しい会計システムに乗り換えるメリット
新しい会計システムに乗り換えると「業務をもっと円滑に進めたい」「企業の成長につながるような便利な機能もほしい」といった願いを、現実のものにできるはずです。
会計システムのなかには数字を一つひとつ手入力せずとも、紙書類をスキャンすればデータを取り込めるものもあります。
従来のシステムよりも会計業務にかかる手間を減らせるがゆえ、担当者のモチベーションの維持にもつながるかもしれません。
また、詳細な財務分析の機能がついたシステムなら、会計データをもとに自社が抱える課題を見つけられるでしょう。
課題をカバーする戦略を立てて取り組めば、ビジネスの好転も期待できます。
このように適切なタイミングで会計システムを移行すると、会計担当者にとっても企業にとってもうれしい効果を得られます。
会計システムを移行する流れ
実際に会計システムを移行すると決めたら、どのような手順で進めていけばよいのでしょうか。
【会計システムを移行する流れ】
- 自社に合う会計システムを選ぶ
- データ移行の準備を進め、実行する
- 新旧両方のシステムを同時に運用する
基本的には、上記のような3つのプロセスを踏むこととなります。
ステップ①自社に合う会計システムを選ぶ
まずは「なぜ会計システムを変えるのか」を明確にしたうえで、目的に沿った製品を選びましょう。
会計システムとひと口に言っても、その種類は一つではありません。
製品ごとにできることが異なりますから、自社の規模に適しているのか、また不要な機能はついていないかどうかをよく検討してください。
また会計システムによっては、無料のトライアル期間が設けられている場合があります。
操作性や性能などを確認する意味でも、実際に使用してから決定するのがベターです。
ステップ②データ移行の準備を進め、実行する
会計システムを選んだあとは、データ移行の準備と実行に移ります。
大まかな流れは、以下の通りです。
データ移行の準備と実行の手順
- 現行のシステムにある不要なデータを削除する
- データの形式を統一する
- サンプルデータで移行テストを行う
- 問題点を洗い出し、適宜修正する
- 新しいシステムにデータを移行する
言わずもがなですが、現行のシステムから新しいシステムへのデータ移行は、とても重要な作業です。
会計情報はもちろん、取引履歴や顧客の個人情報など、紛失してはならないデータが多いことから、慎重に移行する必要があります。
データの整合性を保つためにも、一つひとつの作業の確認を怠らず、重要な情報は必ずバックアップを取っておきたいところです。
ステップ③新旧両方のシステムを同時に運用する
データを紛失するリスクを軽減させたい場合や、機密性の高いデータが多い場合は、すぐに新しいシステムへの移行を完了するのは避けたほうがよいかもしれません。
新しいシステムに問題がないと確認がとれるまで、現行のシステムも同時に稼働させておくと、データ移行によるトラブルを回避できる可能性も高まります。
システムをすべて停止する必要がないため、迅速かつ安全な移行が叶いますが、そのぶんコストがかかるのは懸念点となります。
新しい会計システムに乗り換えるときのポイント
会計システムを移行する際には、押さえておきたいポイントが3つあります。
【新しい会計システムに乗り換えるときのポイント】
- スケジュールをきちんと立てる
- 業務のニーズに合っているかをチェックする
- 従業員にトレーニングを実施する
「移行してよかった」と満足できる結果を得るためにも、これらのポイントを意識しましょう。
ポイント①スケジュールをきちんと立てる
計画をしっかりと立てておけば、会計システムの移行を円滑に実施できること間違いなしです。
新しいシステムに移行するにあたっては、製品の選定から実装までさまざまなプロセスを踏むこととなります。
また、新旧両方のシステムを同時に運用すれば失敗のリスクを軽減できるとはいえ、必ず成功するとは言い切れません。
ですから新しい会計システムに乗り換える際には、リスクも想定したうえで、時間に余裕をもったスケジュールを立てましょう。
業務のニーズを反映させられるよう、関係部署とコミュニケーションをとりながら実装プランを考えるのがポイントです。
ポイント②業務のニーズに合っているかをチェックする
新しく乗り換える予定の会計システムが業務のニーズに沿っているかをチェックするため、従業員に操作性や処理速度、出力結果などを確認してもらいましょう。
新しい会計システムを確認するテストの流れ
- 業務を想定したテストを設計する
- 従業員がテストを実施する
- テストを実施した従業員の意見を聞く
- 業務のニーズに適しているかを確認する
- 業務に合う会計システムに改善する
先ほどもお伝えしたように、会計システムに備わっている機能は、製品ごとに異なります。
ニーズを理解しないまま移行すると、かえって使い勝手が悪くなり、業務の効率が下がってしまうかもしれません。
また、事前にニーズを明確にしていたとしても、実際に使用してみるとイメージと違うケースもあります。
だからこそテストを実施し、ニーズに合わせて会計システムをカスタマイズする必要があるわけです。
ポイント③従業員にトレーニングを実施する
従業員が新しい会計システムを使いこなせるよう、操作マニュアルの作成とあわせてトレーニングも実施したいところです。
「これまでも会計システムを使っていたから、操作方法は教えなくてもわかるだろう」と使い方をレクチャーしないと、のちに業務に支障をきたすおそれがあります。
せっかく新しいシステムへと乗り換えても、うまく使いこなせずに業務が滞ってしまうのはもったいないものです。
会計システムの効果的な運用には、従業員のスキルアップが欠かせません。
移行を成功させるためにも、トレーニングを実施するのがベターです。
会計システムを移行したあとにすべきこと
新しい会計システムに乗り換えて本格的に運用を開始しても、それで終わりではありません。
その後は費用対効果を割り出すためにも、会計システムの移行によって得られた効果を評価しましょう。
会計システムの移行は、言うなれば事業投資です。
ビジネスの基本は“少しの投資で多くの利益を生み出すこと”ですから、移行にかかったコストに対するリターンの測定が大切なのです。
では、具体的に会計システムを移行して得られた効果を測定する際は、どのような点に注目すればよいのでしょうか。
その一例を、以下にまとめました。
会計システムへの投資を評価する指標
- 業務にかかるコスト
- 数字やデータの手入力に要する時間
- ヒューマンエラーの発生率
以前の会計システムと比較して、これらの数値が下がっていれば“投資が成功した”といえます。
一方で期待した効果を得られなかった場合は、移行した会計システムが業務のニーズに沿っていないと考えられます。
今後の改善点として受け止め、システムの機能を見直したり再度テストを実施したりと何かしらの策を講じてみてください。
移行を検討するなら覚えておきたい会計システムの最新トレンド
会計システムはさまざまな進化を遂げており、いまやクラウドやAIといった新たな技術が取り入れられています。
少し前まではパッケージ型が注目を浴びていましたが、現在では、法改正や働き方の多様化などを受けてクラウド型の会計システムが主流になりつつあります。
クラウド型の会計システムとは、インターネット環境が整っていれば働く場所を問わずに、会計処理ができるサービスです。
システムを運営する会社が機能を管理しているため、バージョンアップに関係する作業を自社で実施する必要がありません。
そのため、運用しやすいのが魅力です。
またAIを搭載した会計システムでは、請求書の読み取りから仕訳の計上までにかかる時間の短縮が叶います。
AIの技術を活用して業務データを詳細に分析すれば、売上予測も可能となります。
潜在的なリスクも特定できることから、抱えうる経営の課題を未然に防げるはずです。
乗り換えにもぴったりな会計システム
ここまでご覧になり、最新の会計システムに移行すれば、日々変化する世の中の動きについていけることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
会計システムを移行するなら、最新かつ業務のニーズに応えられる製品を選びたいですよね。
そこで本項では、移行を決めた企業様におすすめの会計システムを紹介します。
なお、以下で紹介する会計システムはCASTER BIZ accountingでも導入支援を実施しておりますので、気になるものがございましたらお気軽にお声がけください。
マネーフォワード クラウド会計
【マネーフォワード クラウド会計の特徴】
- 連携できる金融関連サービスが多い
- バックオフィス業務を全体的にカバーできる
- ニーズに合わせてプランを選べる
マネーフォワード クラウド会計は、サービスの継続率99%を誇るクラウド型の会計システムです。
インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しています。
クレジットカードや交通系IC、銀行など連携可能な金融関連サービスが多く、その数は2,300を超えています。
各種サービスと連携すると、データを自動で取得・仕訳できるため、会計の業務効率をぐんと上げられるはずです。
さらにマネーフォワード クラウド会計なら、会計のほか、経費精算や勤怠管理などのバックオフィス業務を、全体的にカバーできますよ。
マネーフォワード クラウド会計の基本情報
料金(月額) |
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契約期間 | 1ヶ月~ |
基本機能
(ビジネスプランの場合) |
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導入事例 |
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freee会計
【freee会計の特徴】
- 誰でも簡単に作業を進められる
- 法改正にも対応している
- 見たい情報をすぐに見つけられる
フリー株式会社が運営するfreee会計を利用すれば、請求・支払い業務や決算書の作成が瞬く間に完了します。
煩雑化しがちな業務を同じツールにまとめておけるがゆえ、作業にかかる時間をグッと減らせます。
誰が見てもわかりやすいデザインで、操作性が良いのが魅力です。
また、アドバイザーによる手厚いサポートを受けられるのも、freee会計ならではです。
マニュアルやサポート動画がそろっているだけではなく、チャットや電話でもアドバイスをもらえるため、移行後も安心して業務を進められます。
freee会計の基本情報
料金(月額) |
|
契約期間 | 要問い合わせ |
基本機能
(スタンダートプランの場合) |
※機能に一部制限あり |
導入事例 |
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ジョブカン会計
【ジョブカン会計の特徴】
- 操作がしやすい
- 豊富な集計機能がある
- PDFやCSVのエクスポートに対応している
シンプルな操作が魅力のジョブカン会計なら、ストレスフリーで会計業務に取り組めるでしょう。
基本的な操作はすべてキーボードのみで実施できるため「新しいシステムに慣れるまで時間がかかりそう」と不安を抱える必要はありません。
また、会計業務の繁忙期となる決算月は、さまざまな準備に追われるものです。
決算書を作成する際には特に手間がかかるものですが、ジョブカン会計ならワンクリックで完了します。
税理士に依頼せずとも自動で作成できるので、忙しい時期でも少し余裕をもてるようになるはずです。
ジョブカン会計の基本情報
料金(月額) |
|
契約期間 | 要問い合わせ |
基本機能 |
|
導入事例 |
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プラスアルファで覚えておきたいおすすめの経費精算システム
新しい会計システムに乗り換えると同時に、経費精算システムも見直せば、バックオフィス業務のさらなる効率化が期待できます。
ここからはCASTER BIZ accountingでも導入を支援している、おすすめの経費精算システムをご紹介します。
バクラク経費精算
【バクラク経費精算の特徴】
- 経費精算システムにAIを搭載している
- さまざまな業務に対応できる
- セキュリティ対策が万全である
ユーザーに合わせて自動学習するAIを搭載した経費精算システムが、バクラク経費精算です。
働くをラクにするAI、通称“バクラクAI”は、バックオフィス業務に特化しているのが特徴で、手入力していた経費精算業務を助けてくれます。
税率やインボイス制度の登録番号も自動で判定してくれるため、一つひとつ目で見て確認する手間を省けるようになるはずです。
さらにスマートフォンから領収書の回収や小口現金の確認もでき、スキマ時間を有効に活用できるでしょう。
バクラク経費精算は、時間的に余裕をもって業務を進めたい経理担当者にぴったりです。
バクラク経費精算の基本情報
料金(月額) | 30,000円~ |
契約期間 | 1年 |
基本機能 |
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導入事例 |
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TOKIUM
【TOKIUMの特徴】
- 完全ペーパーレス化を実現できる
- あらゆる会計システムと連携できる
- セキュリティ体制が整っている
TOKIUMでは、請求書の処理や経費精算などを一元管理できます。
請求書や領収書をスマートフォンで撮影するだけで、手入力せずに金額が入力されます。
機能がシンプルなので、経費精算システムを移行したばかりで操作に不慣れな状態でも使いこなせること間違いなしです。
また、セキュリティ対策が万全なのもポイントです。
ISMS認証やPマーク、SOCレポートといった認証を取得しているうえ、徹底的な通信の暗号化や不正アクセスの監視なども実施しています。
業務の効率化とあわせて安全性を求めるときには、TOKIUMがおすすめです。
TOKIUM経費精算の基本情報
料金 |
|
契約期間 | 要問い合わせ |
基本機能
|
|
導入事例 |
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会計システムは業務上で不具合や変更が起きたタイミングで移行しよう
今回は、会計システムを移行すべきタイミングをお伝えしました。
会計システムは「現行のシステムのサポートが終わってしまう」「事業規模を拡大した」といったタイミングで移行するのがベストです。
ニーズに合う機能が使えるようになれば、会計業務が効率的に進み、担当者のモチベーションアップにもつながるかもしれません。
会計システムを移行する際には、自社に合う製品の選定や従業員のトレーニングなどを実施するのがポイントです。
新しい会計システムの選定や導入方法などに悩まれたときは、オンライン経理のCASTER BIZ accountingにご相談ください。
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