IPO準備企業が外注できるバックオフィス業務8種類を解説!
IPO(新規公開株式)を目指している企業では、事業の拡大に対して人材の確保が追いついていないことも珍しくありません。
なかでも管理部門への人材配置は後回しとなることが多く、一時的にアウトソーシングを活用するケースも多いことでしょう。
そこで本記事では、IPOの準備を進める企業のために、外注可能なバックオフィス業務の種類と注意点を解説します。
自社のリソース不足にお困りの担当者様は、ぜひ最後までご覧ください。
IPO準備企業が外注できるバックオフィス業務
IPOを目指す企業では、限られたリソースを効率的に活用するために、バックオフィス業務を外部に委託するケースが多くみられます。
具体的には、次のような業務です。
【IPO準備企業が外注できるバックオフィス業務】
- 税務申告書作成業務
- 社会保険手続業務
- 許認可業務
- 在留資格業務
これらについて、一つずつ詳しく解説していきます。
関連記事:経理の業務委託とは?委託できる業務内容を詳しく紹介!
①税務申告書作成業務
まず挙げられるのは、税務申告書の作成業務です。
税務申告書は、決算書をもとに税務特有の処理を施すことで作成できます。
この作業には高度な専門知識を要しますが、必要な資料さえそろっていれば、社内業務に直接関与していなくとも問題なく作業を進められます。
このため、IPO準備企業においては、税務申告書の作成を税理士法人や会計事務所などに外注するケースが一般的です。
アウトソーシングによって税務処理に伴う負担が軽減すれば、内部のリソースをほかの重要な業務に集中できるため、メリットは大きいといえるでしょう。
関連記事:税理士に依頼する際の費用相場は?費用が変動する要因も解説
②社会保険手続業務
社会保険に関連する業務も、外注できるバックオフィス業務の代表格です。
これには、従業員の入職や退職の際に行う、健康保険や厚生年金保険への加入・脱退の手続きが含まれます。
手続きは法律や規定に基づく必要があり、大企業ともなると社内ですべてを管理するのは困難です。
そのような場合に、外注先に自社の状況や従業員の情報を提供するだけで、書類を作成して年金事務所への提出まで代行してもらえます。
社会保険は法改正が頻繁に発生する分野であるため、専門知識をもつ外部の業者に依頼することは安心につながります。
③許認可業務
IPO準備企業が行政機関からの許認可がいる業務を行う場合、書類の作成・提出に戸惑うこともあるかもしれません。
行政機関からの許認可が必要な業務の例
許可が必要 |
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認可が必要 |
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届出が必要 |
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この業務を外注することで、企業は申請書類を準備・提出する負担が軽減され、効率的に許認可を取得できます。
④在留資格業務
外国人従業員を雇用する際には、在留資格の取得が必須です。
この手続きもまた、専門の行政書士や移民業務を扱う事務所に委託することができます。
対象者の個人情報や職務内容など、必要なデータを提供すれば、外注業者のほうで申請書類の準備と提出を代行してくれます。
これにより煩雑な手続きが効率化され、外国人従業員をスムーズに雇用できるはずです。
関連記事:スタートアップ企業がIPO準備期間に行うべきことを解説!
部分的に外注できるバックオフィス業務
バックオフィス業務のなかには、業務一括ではなく一部の範囲のみ外注できる、以下のようなものも存在します。
【部分的に外注できるバックオフィス業務】
- 経理業務
- 内部監査業務
- 内部統制業務
- 開示書類作成業務
こちらも順番に解説していきます。
⑤経理業務
経理業務は、会社の財務状況や意思決定に直結する重要な業務です。
そのため、会計方針の決定や最終的な経理処理の承認など、企業としての判断が求められる業務に関しては内製化が求められます。
一方、日常的な伝票起票や給与計算、年末調整などの定型化された業務であれば、アウトソーシングが可能です。
なお、IPO後に内部統制が整備されている状況であれば、経理業務のほとんどを外注できる場合もあります。
関連記事:経理業務の外注費用の相場はいくら?外注先の選び方も紹介
⑥内部監査業務
内部監査は、内部統制が適切に機能しているかどうかを確認する、重要なプロセスです。
上場企業では、独立した内部監査部門を設置するケースがよくみられますが、IPOの準備段階ではリソース不足からアウトソーシングが選ばれることがあります。
ただし、内部監査を完全に外部に委託することはできません。
上場審査では、経営陣が内部監査に主体的に関与していることが重視されるためです。
外注業者に委託した場合も、定期的に報告を受けるなど、企業としての監査意識を示しておく必要があります。
⑦内部統制業務
IPO準備企業では、財務報告に関する内部統制の構築が求められます。
それに付随する業務には、自社への深い理解が必要なため、すべてを外注するのは難しいといえるでしょう。
しかし、リソース不足などを理由に、IPO準備企業が内部統制業務の一部を外部に委託している例は珍しくありません。
内部統制業務をアウトソーシングする際には、外注先が企業の営業活動や購買活動を正確に把握できるよう、社内関連部署との十分な連携が必要です。
またその際は、経営陣が定期的に進捗を確認し、主体的に関与する姿勢を示しておかないと、のちのち上場審査に影響するので、注意したいところです。
関連記事:IPOを目指すには内部統制が必須?その理由や目的を解説
⑧開示書類作成業務
IPOの過程では、主幹事証券会社や証券取引所に提出するさまざまな書類を作成します。
これらの書類は企業の事業内容や財務状況を詳細に説明するものであり、正確性と透明性が不可欠です。
書類を作成するには、過去から現在までの社内情報を把握している必要があるため、関連するすべての業務を外注することは難しい場合があります。
膨大なデータの整理や基本的な情報の入力は外部に委託し、最終的な確認や編集を社内で行うというスタイルが一般的です。
IPO準備企業がバックオフィス業務を外注するメリット
企業が外注できるバックオフィス業務を確認したところで、アウトソーシングによって得られる利点を見ていきましょう。
ここでは、代表的な3つのメリットを紹介します。
メリット①業務のスピードと品質が向上する
バックオフィス業務を外注すれば、社内の効率化が実現し、業務を遂行するスピードと品質がともに向上します。
企業がアウトソーシングを活用する主たる目的は、これだといえるでしょう。
IPO準備企業は、ときに短期間で複雑な業務をこなさなければなりません。
たとえば、企業会計基準に基づく決算書の作成や、それに伴う税務申告書の作成などは、専門性が高く膨大な工数を要します。
そのようななかで外部の専門家にこれらの業務を委託すれば、プロフェッショナルのノウハウが活用された、質の高い成果物を迅速に得られるというわけです。
関連記事:経理のアウトソーシングを使って企業成長を加速させる方法
メリット②コストの削減が叶う
コストの削減もまた、IPO準備企業が外注によって得られるメリットです。
高度な専門知識をもつ従業員に対しては、それなりの厚遇をもって向かい入れなければなりません。
特に、税務申告書の作成に精通した人材は希少なため、他社との争奪戦になれば予定していた金額で獲得できないという事態も起こりえます。
こうしたところにアウトソーシングを活用すれば、必要なスキルやサービスをピンポイントで利用でき、全体的なコストを削減することが可能です。
メリット③自社のリソースを有効活用できる
外注による効率化が叶えば、そのぶん自社のリソースをコア業務へと注力できます。
限られた人員でIPOを目指す場合、フロント部門と管理部門のバランスは重要です。
アウトソーシングの導入によって、バックオフィス業務にかかる工数を削減し、フロント部門にリソースを集中できるようになります。
つまり、売上や利益に直結する業務に集中することで、IPO準備企業の成長を促進できるというわけです。
IPOの支援は外注できる?
世間には、IPOそのものをサポートしてくれるサービスもたくさんあります。
このようなサービスを活用すれば、バックオフィス業務だけでなく、IPOに必要となる、さまざまな支援を受けることが可能です。
IPOは、企業にとっての大きな挑戦ですが、その成功確率はわずか0.5~1%程度といわれています。
このような難関を乗り越えるには、事業の成長性はもちろん、内部の管理体制が整備されていることが前提です。
しかし、十分な管理体制を構築できずに、IPOを断念する企業は少なくありません。
原因としては、経営者の認識不足や、準備メンバーの経験不足が挙げられます。
このような課題に直面した際、外部の専門家や支援サービスを活用することが、IPO成功の鍵を握ります。
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CASTER BIZ accountingを活用することで、IPO成功の可能性が高まり、本来注力すべき事業の成長にリソースを集中させることが可能となるでしょう。
IPO準備企業が業務を外注する際に注意すべきこと
最後に、IPO準備企業が業務を外部に委託する際に、注意したい点を解説します。
【IPO準備企業が業務を外注する際に注意すべきこと】
- セキュリティへの対応
- コンプライアンスへの対応
セキュリティとコンプライアンスはどちらも重要なポイントなので、必ず押さえておきましょう。
セキュリティへの対応
外注先と業務を進めるにあたり、情報漏洩のリスクは常に伴うものです。
バックオフィス業務のアウトソーシングでは、財務情報や個人情報など、企業にとって重要なデータを扱う場面が自然と多くなります。
このため、企業はセキュリティ対策を徹底し、社内の情報を確実に保護しなければなりません。
具体的な対策としては、USBメモリなどの外部記憶装置の使用を禁止することなどが挙げられます。
これによりデータの不正な持ち出しを防ぎ、外注先が使用するシステムへのアクセスを厳格に管理できます。
また、紙媒体での情報管理は盗難や紛失のリスクが高いため、できる限りデータベース上での管理に統一することが望ましいでしょう。
コンプライアンスへの対応
セキュリティとともに、コンプライアンスの観点でも気をつけなければならないポイントがいくつか存在します。
バックオフィス業務では、契約書や決算書など、機密性の高い情報を扱います。
万が一、外注先による情報漏えいが発覚した場合、契約企業が法的責任を問われるだけでなく、社会的信用を失う可能性もあるのです。
このリスクを回避するには、外注先と秘密保持契約を締結し、情報管理に関する責任範囲を明確にしておく必要があります。
重要な判断や最終確認が必要な業務については、自社で実施することがコンプライアンスリスクを抑える基本です。
そのうえで、外注先を選定する際は、信頼できる実績と適切なセキュリティ体制をもつ企業を慎重に選ぶことがリスク回避につながります。
IPO準備企業は、バックオフィス業務を外注することで自社のリソースを有効活用できる
本記事では、IPO準備企業が外注できるバックオフィス業務について解説しました。
バックオフィス業務の一部を外部の専門家に委託することで、自社のリソースをコア業務へと集中させ、企業の成長を実現できます。
セキュリティやコンプライアンスへの配慮は欠かせませんが、業務を適切に外注することはIPOへの道を進めるうえで欠かせない手段といえるでしょう。
また、IPOそのものをサポートしてくれるサービスも存在します。
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