Peppol(ペポル)とは?おすすめの対応ソフトも紹介します!

2023年10月にインボイス制度が開始されたことに伴い、経理業務は以前にも増して手間がかかるようになりました。
そんななか経理業務の効率化が叶うPeppolが注目を集めていますが、具体的にどのようなものか、また対応ソフトには何があるのかが気になる企業様もいらっしゃるでしょう。
今回は、Peppolについて仕組みからメリット、対応しているソフトまでをお伝えします。
業務の負担も人為的なミスも減らせるよう、ぜひご一読ください。
Peppol(ペポル)とは
Peppol(ペポル)とは、デジタルインボイス(標準化・構造化された電子インボイス)のやり取りに関する国際標準規格です。
具体的には、ネットワークや文書の仕様、運用ルールについての規格を策定しています。
ベルギーの国際的非営利組織であるOpen Peppolによって管理されており、現在ではヨーロッパ諸国やニュージーランドなどの30か国以上で導入・利用されています。
日本では、2020年にデジタルインボイス推進協議会(EIPA:エイパ)が電子インボイス の仕様をPeppolに準拠させると発表しました。
そんなPeppolの大きな魅力は、企業間で異なるシステムを利用している場合でも、電子文書をやり取りできる点です。
くわえて請求書のデータを自動的に処理してくれるため、手作業での入力が減り、経理担当者の負担もミスも減らせます。
日本版Peppolの“JP PINT”とは何か
日本でPeppolを導入するにあたり、日本のビジネス環境に合わせてカスタマイズされた国内標準仕様が、JP PINTです。
昔ながらの業務プロセスが多く残る日本において、デジタルインボイスを活用し、業務の効率化を図ることを目的に策定されました。
JP PINTの利用は義務ではないものの、導入することで多くのメリットを得られます。
たとえば、インボイス制度への対応はもちろん、システムが異なる企業との取引や海外の企業との取引もスムーズに進められるといった具合です。
JP PINTはOpen Peppolではなく、日本のデジタル庁が管理しており、その普及や定着の促進は、いまや官民一体の重大なプロジェクトとなっているのです。
EDIとの違い
日本では50年以上も前から、受発注や請求・支払の業務の効率化を目指し、企業間でのやり取りを電子データで行っていました。
それが、EDI(Electronic Data Interchange)です。
Peppolと似ているシステムですが、この2つには利便性の面で決定的な違いがあります。
先ほどもお伝えしたようにPeppolでは、相手が自社と異なるシステムを導入している場合も、標準化・構造化された電子インボイスの送受信が可能です。
誰でも利用できるオープンネットワーク上でのやり取りとなるため、業務を円滑に進められる点が特徴です。
一方でEDIの場合、企業間のやり取りはプライベートネットワーク(専用回線)を介して実施されます。
そのため、自社と取引先企業が同じシステムを導入していることが絶対条件となり、導入や運用に際して、手間やコストがかかる点が課題となります。
このことからEDIはPeppolよりも、やや利便性に欠けるといえるでしょう。
デジタルインボイスと電子インボイスは何が違う?
先述のようにPeppolを利用するには、デジタルインボイス(標準化・構造化された電子インボイス)が必要です。
一方でインボイス制度の開始に伴い、電子インボイスという言葉を耳にする機会も増えました。
似ているように感じるデジタルインボイスと電子インボイスには、果たして、どのような違いがあるのでしょうか。
結論から申し上げますと、2つの違いは負担の大きい経理業務を自動で処理するのか、人の手で処理するのかどうかです。
デジタルインボイスとは、Peppolを通じて異なるシステム間でも、請求書のデータを自動で処理できるように標準化・構造化された電子インボイスのことです。
電子インボイスは、単に適格請求書を電子化したものを指します。
Peppolに準拠したデジタルインボイスであれば、適格請求書のデータの入力をまるごと自動化できます。
結果、経理担当者がデータを一つひとつ手で入力する必要がなくなり、人為的なミスを未然に防げるわけです。
しかし、適格請求書を電子化しただけの電子インボイスの場合は、EDIのように双方同じシステムを使用しなければ、データを自動処理できません。
そのため、異なるシステムを使っている企業とやり取りするときには、手作業でデータを入力しなければならず、経理業務の効率化にはつながらないでしょう。
このように、データを自動で処理するのか、人の手で処理するのかがデジタルインボイスと電子インボイスの主な違いとなります。
Peppolを利用してデジタルインボイスを送受信するメカニズム
Peppolでは、“4コーナーモデル”とよばれるアーキテクチャを採用しています。
具体的にイメージをつかめるよう、Peppolを用いてデジタルインボイスのやり取りを実施するA社とB社を例に、送受信のプロセスを見てみましょう。
ここでは、デジタルインボイスを発行する側をA社、受領する側をB社と仮定します。
まずA社(Corner1)は、会計ソフトをはじめとするアクセスポイント(Corner2)を経由して、Peppolネットワークに接続します。
接続が完了したあと、B社のアクセスポイント(Corner3)にデジタルインボイスを送信すると、B社(Corner4)の元にデータが届くといった流れです。
これは、メーラーを使って送信した電子メールが、プロバイダーを経由して相手のパソコンに届く仕組みと似ています。
またPeppolを利用してデジタルインボイスを送信する場合は、メールアドレスと同様に、“誰宛てなのか”を明確にするためのPeppol IDが必要となります。
IDには、法人番号や適格請求書を発行する事業者の登録番号を指定するのが一般的です。
Peppolを活用するメリット
Peppolは利便性の高さが魅力として挙げられますが、ほかにも利用するメリットはいくつもあります。
【Peppolを利用するメリット】
- 経理業務の効率化が叶う
- 無駄を省いて業務を進められる
- 在宅ワークを推進できる
- 海外の企業と取引しやすくなる
以下で、一つずつ確認していきましょう。
メリット①経理業務の効率化が叶う
Peppolを利用すると、データの読み込みから計算、入力までが自動化されます。
そのため経理業務における人為的なミスと作業時間をグッと減らせる点は、大きなメリットとなります。
インボイス制度の開始に伴い、仕入税控除の計算にかかる手間が大幅に増えました。
計算に必要な情報を人力で会計ソフトに入力するのは骨が折れる作業ですから、適切に処理できずにミスが多発したという企業様も多いかもしれません。
そんなときに自社と取引先企業の双方がPeppolを利用すると、電子データを直接ソフトに取り込むことができ、入力の手間を省けます。
データの自動処理が可能になれば、ほかの作業に時間を割くことができ、効率的に経理業務を進められるようになるはずです。
メリット②無駄を省いて業務を進められる
適格請求書を保管したり管理したりする際の無駄を省ける点も、Peppolのメリットの一つです。
インボイス制度では発行した側、受領した側に関係なく、適格請求書は7年間の保管が義務付けられています。
紙の適格請求書を保管する場合は、ファイリングの手間や、それに伴う経費もかかります。
その点Peppolに対応したソフトを利用して、デジタルインボイスでやり取りすれば、ファイリングの手間も保管場所の確保も必要ありません。
メリット③在宅ワークを推進できる
Peppolを利用すれば、出社しなくとも適格請求書の発行や受け取りができるようになります。
たとえば紙の適格請求書を受け取る場合、経理担当者は業務を遂行するためだけに出社しなければならず、負担も大きくなってしまうものです。
しかしPeppolを導入すれば、経理担当者の負担を減らして在宅ワークを推進できるだけではなく、交通費や光熱費などの経費を削減できるというメリットもあります。
メリット④海外の企業と取引しやすくなる
Peppolを利用すれば、海外の企業との取引が容易になるため、ビジネスチャンスを広げられるかもしれません。
現在、世界30か国以上で導入が進んでいるPeppolは、今後も拡大が期待されています。
このことから、国際標準規格のデジタルインボイスが定着すれば、海外の企業とのやり取りをスムーズに進められるはずです。
さらに、グローバルな取引の課題となる言語の壁も、データの自動処理によってクリアできるのは大きな利点といえるのではないでしょうか。
Peppolを導入する流れ
企業様にとっても経理担当者にとってもうれしいメリットのあるPeppolは、主に以下の3ステップ踏めば簡単に導入できます。
【Peppolを導入する方法】
- Peppolに対応しているソフトを確認する
- Peppol IDを取得する
- 運用体制を整える
まずは、自社で使用しているソフトがPeppolに対応しているかどうかを確認しましょう。
もし対応していない場合は、予算や必要な機能などを踏まえて、新たにPeppolに対応しているソフトの導入を検討してください。
そして、新たなソフトを導入したことによって経理業務が滞らないよう、運用ルールや業務フローなどの体制を見直すことも不可欠です。
またPeppolの導入にあたっては、取引先企業に導入状況の確認をしておくこともポイントです。
Peppolに対応しているおすすめのソフト3選
Peppolに対応しているソフトといってもさまざまな種類があるため、「どれを選べばいいんだろう」と悩む企業様もいらっしゃるかもしれません。
ここからは、そんな企業様におすすめのPeppolに対応可能な会計ソフトと、請求書ソフトを紹介していきます。
自社に合ったソフトを導入し、経理業務の効率化を目指しましょう。
マネーフォワード クラウド会計
【マネーフォワード クラウド会計の特徴】
- 2,300を超える金融関連サービスと連携している
- オンライン上で税理士と会計状況を共有できる
- 他社からのデータ移行が簡単に行える
マネーフォワード クラウド会計は、バックオフィス業務全体の効率化から、請求書のデータの利活用までを、まるごと叶えるクラウド型の会計システムです。
企業規模を問わず利用できるのが魅力で、サービスの継続率は99%を誇ります。
2023年2月にPeppolのサービスプロバイダーとして認定を受け、さらに多くの事業者の役に立つ会計ソフトとなりました。
またマネーフォワード クラウド会計では、他社の会計ソフトからのデータ移行も簡単に実施できます。
公式サイトに移行の操作手順が詳しく掲載されているため、会計ソフトを乗り換える場合でも安心して実施できること間違いなしです。
マネーフォワード クラウド会計の基本情報
料金(月額) | スモールビジネス:2,980円~ ビジネス:4,980円~ 中堅~上場企業またはIPO企業向け:要問い合わせ |
契約期間 | 1ヶ月~ |
基本機能 (ビジネスプランの場合) | 決算書の作成 部門階層の作成 振込FBデータの作成 帳簿残高と口座残高の突合 AI-OCRから入力 電帳法・電子取引への対応 電帳法・書類保存への対応 電帳法・優良電子帳簿への対応 消費税申告書の作成 |
導入事例 | 社会保険労務士法人アライズ iCureテクノロジー株式会社 株式会社kubell |
BtoBプラットフォーム請求書
【BtoBプラットフォーム請求書の特徴】
- 4年連続で国内シェア1位※を獲得している
- 請求書の発行と受け取りの両方が叶う
- ハイレベルのセキュリティ体制が整っている
株式会社インフォマートが提供するBtoBプラットフォーム請求書は、請求書のデータを電子化し、一つのプラットフォームで管理できるクラウドサービスです。
2021年から4年連続で国内シェア1位を獲得しており、利用企業数は1,100,000社にものぼります。
この実績からも、信頼性の高いサービスであることがおわかりいただけるのではないでしょうか。
また、BtoBプラットフォーム請求書には、請求書の発行から受け取り、支払金額の通知まで、手間もコストもかかる経理業務をサポートする機能が満載です。
もちろんPeppolにも対応しているため、経理業務に要する時間をグッと短縮できるのが大きな魅力です。
※2024年6月現在 東京商工リサーチ調べ
BtoBプラットフォーム請求書の基本情報
料金 | 初期費用:100,000円~ 月額料金:23,000円~ |
契約期間 | 要問い合わせ |
基本機能 | 会計システムへの自動取込 支払通知書機能 支払通知書の自動発行 紙・PDFの請求書をAI-ORCで電子化 紙の請求書も一元管理 関連書類の添付機能 請求書以外の国税関連書類も改正電子帳簿保存法に対応 郵送代行サービス 請求書を自動発行 入金消込システム 納品書 |
導入事例 | サミット株式会社 トヨタ自動車株式会社 野村證券株式会社 |
TOKIUMインボイス
【TOKIUMインボイスの特徴】
- 形式を問わず、どのような請求書でも受け取れる
- 請求書の処理状況を可視化できる
- あらゆる会計ソフトとの連携が叶う
TOKIUMインボイスは、郵送からダウンロード型まで請求書の受領形式を問わず、データを電子化できる請求書受領サービスです。
請求書を受け取ったあとの開封からスキャン、データの入力までも代行可能なので、「メールを見逃していた」「ダウンロードし忘れていた」といった確認漏れを防げます。
デジタルインボイスの受領にも対応していますので、ご安心ください。
また、AI-OCRとオペレーターによる入力体制が整っているため、請求書の情報は99%以上の精度でデータ化できます。
24時間365日、高精度で請求書をデータ化してもらえるのは、経理担当者にとって大きな利点となるでしょう。
TOKIUMインボイスの基本情報
料金 | 初期費用:要問い合わせ 月額料金:10,000円~ |
契約期間 | 要問い合わせ |
基本機能 | 請求書の受取代行・スキャン 請求書をオンラインで一元管理 国税関係書類の保管 会計ソフト連携 電子帳簿保存法対応 インボイス制度対応 請求書情報の自動データ化 自動仕訳機能 承認ワークフロー機能 確認画面内でのチャット機能 未着請求書の確認機能 全銀データ出力 原本の代理保管 有人サポートチャット API連携 |
導入事例 | イオンディライト株式会社 日本管財ホールディングス 株式会社ヤオコー |
Peppolはデジタルインボイスのやり取りに関する国際標準規格!利用するには対応可能なソフトが必要
今回は、Peppolの仕組みやメリット、対応しているソフトなどをお伝えしました。
Peppolとは、デジタルインボイスのやり取りに関する国際標準規格です。
これを活用することで、煩雑になりがちな経理業務を自動的かつ効率的に進められるようになります。
なおPeppolを利用するためには、デジタルインボイスに対応可能なソフトが必要です。
そのためPeppolの導入に際しては、自社で使用しているソフトが対応できるかどうかをよく確認しましょう。
「経理業務を円滑に進めたい」「Peppolに対応可能なソフトを導入したい」とお考えの企業様は、ぜひオンライン経理のCASTER BIZ accountingにご相談ください。
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